吃音とは、言葉が円滑に出てこない症状です。話す時に言葉が連続して出たり、詰まって何も言葉が出てこなくなったりします。
以前は「どもり」などと言われることもあったのですが、差別用語や放送禁止用語となって今ではあまり使われなくなりました。現在は「吃音症」と呼ぶのが正しい表現です。
吃音症は「○○病」のような病気の名前ではありません。これは吃音が発症する原因が多岐に渡り、はっきりしないためです。「熱中症」や「脱水症」などと同じで様々な原因がもとで引き起こされた症状に焦点を合わせているのです。
病気では無いため、保険が適用されないことも多いです。病院で治療する方は少ないですが、希望される方は事前に保険が適用されるかを聞いておくとよいでしょう。
原因がはっきりしない吃音症ですが、症状には三つのタイプがあります。
吃音症の症状の三つのタイプ
吃音は症状によって三種類にわけられます。
- 難発型(無声型、無音型)
- 連発型(連声型)
- 伸発型
の三つです。
それぞれについて詳しく解説していきます。
1. 難発型(無声型、無音型)
第一声や最初の言葉で詰まってしまい出てこない状態です。「ブロック」とも呼ばれています。
例としては、「・・・お、・・・お、・・・お、おはよう」のように一番初めの言葉が出てこないのです。
難発性の吃音は、ある特定の場面や特定の言葉に限って症状が現れるという特徴があります。
親や友達との普段の会話では普通に話せるのにも限らず、電話中、大勢の前でのプレゼン中など特定のシチュエーションになった途端に、思うように言葉が出なくなるのです。
特定の言葉とは、「あ」や「お」などが多く、「ありがとうございます」や「おはようございます」、「お疲れ様です」などという際に言葉が詰まりやすいようです。どの言葉が最も言いにくいかは人によってもかなり差はあるようです。
普段は普通に話せるのに特定の状況でだけ話せないというストレスから自己嫌悪感に結びつきやすいですが、周りからは実はあまり吃音だと認識されていないことも多いです。
この難発型の症状を隠すために、他の連発型や伸発型の症状を同時に引き起こしてしまうこともあります。どんどん症状が悪化することで自分を責めてさらに症状を悪化させてしまう可能性もあります。
2. 連発型(連声型)
最初の言葉を連続して発してしまう状態です。「繰り返し」とも呼ばれています。
例としては、「おはよう」と言いたいのにも関わらず、「おおおおおはよう」と行ってしまいます。
最初の言葉は繰り返してしまいますが、最初の言葉以外はスムーズに話をすることができる場合があります。
3. 伸発型
最初の言葉を引き伸ばしてしまう状態です。「引き伸ばし」とも呼ばれます。
例としては、「おはよう」と言いたいところを、「おーーーーーはよう」と語句の一部を引き伸ばしてしまいます。
他の症状を隠すためにこの伸発型が発症してしまうケースもあります。
症状の進展
吃音で最初に症状が出るのは「難発型」と言われています。
「難発型」の症状を隠そうとして「連発型」となり、最後には「伸発型」も合わさって全ての型に当てはまるようになるパターンが多いようです。
最初の「難発型」の状態では少し言葉が詰まりやすかったり、噛みやすいという程度の認識の人が多いですが、ストレスと共に他の型が合わさってくると本人も吃音の症状に気がつき始めます。
するとだんだんと人前で話すのが強くなり、対人恐怖などを感じてしまいます。
吃音は周りの環境が大きく影響してきます。幼い頃出あれば、親が子の吃音に気がついた時に責め立てるの出はなく受け入れて話を聞いてあげることができれば自然に治る可能性も高いです。
幼い頃に治らなかった場合は、だんだんと複数の型を併発してしまうでしょう。しかし、どれだけ吃音がひどくても正しい治療を行えば吃音はだんだんと治癒していきます。諦めることはありません。